iOS7搭載「iBeacon」が作る新しい位置情報の世界
iOS7とiPhone5sがリリースされてからしばらくが立ち、iOS7のシェアが72時間でiOS6を上回るという人気ぶりです。アプリ開発者としては、大きくUIの変わったiOS7アプリを作るのは手間が増えて大変なのですが、ユーザーとしたら新機能満載のiOS7は魅力的であり、必然的に専用のアプリを望んでいるのでしょう。
iOS7から搭載された新機能はいくつかあり、以前から待ち望まれていたものから全く新しいものまで様々です。
その中でも、私が注目しているのは「AirDrop」です。さらに言えばAirDropで使われている「iBeacon」という技術です。iBeaconとはこの記事で紹介されているように、6月のWWDCでひっそりと発表された隠れキラーコンテンツです。
iBeaconは、新興企業Estimote社が開発したBeaconという名のセンサーを利用した近距離無線通信技術です。
iBeaconの使い方を紹介した動画がこちら。店内にスタイリッシュなデザインが施されたiBeaconを配置することで店内での顧客の正確な位置情報を把握し、スマートフォンに情報を映すことで全く新しいショッピング体験を実現しています。
Estimote社は、シリコンバレーのあのY Combinator出身のスタートアップで、TechCrunch Disrupt SF 2013のハードウェア部門優勝者です。TechCrunchのインタビューの中で以下のように語っています。
製品は岩石のような形をしたBluetooth Low Energyを使用するデバイスで、例えば小売店が客のいる列に応じてバーゲン情報を送ったり、スマートフォンから支払いトークンを送り、レジでタップするあるいはレジに近づくだけで支払いを済ませるなどといったことが可能になる。 (略)
同社は、iBeaconを活用する様々な種類のハードウェアを作る計画だ。例えば放置されたショッピングカートの追跡なども、リアル店鋪にとって現実的な可能性になる。 (略)
小売店は、客がどれだけの時間試着室にいたかを知ることができるため、例えば、20分間試した後それを買わずに店を出たことがわかる。この後その商品専用のクーポンを発行して客をフォローアップすることによって、これまででは不可能だったプロモーションが可能になる。
また、こちらは別のインタビュー動画です。「なぜローエナジーのBluetooth通信が重要なのか」、「NFCやQRコードはiBeaconによって不要になる」などを説明しています。
私の予想ではこのiBeaconが取得するローカルでの正確な位置情報は、Google GlassやTelepathy Oneに代表されるウェアラブルデバイスが普及してから、さらに重要度が増すはずです。 このGlassのイメージ動画での1:03からは、もはや先ほどのiBeaconの紹介動画と同じ体験です。
Estimote社はこれからも成長を続けるでしょう。そして、今は夢のようなこのユーザー体験もあと数年で当たり前になると思っています。
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